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鮫万年筆の魅力

鮫と万年筆の出会い

現実にはちょっとありえない組み合わせに驚かされますが、しかし、出会ってしまったのです。
海に棲む鮫、そして文字を書く道具である万年筆。
いったい彼らがどう出会い、出会ったゆえにどうなったのでしょうか。


昔、シュールレアリスムについて、解剖台の上のミシンとこうもり傘の偶発的な出会いのような美しさ、
と言われたことがありました。
解剖台の上でミシンとこうもり傘が出会うことは、おそらく人生で一回も見ることが無いだろうと思われるほどに、
可能性の低そうなことです。
しかしだからといって、無用な先入観と日常性にとらわれてしまい、新たな出会いが織りなす可能性を
発見できないことほど、我々を落胆させることは無いのではないでしょうか。

言うなれば紙の上での鮫と万年筆の偶発的な出会い。
偶発的か、それとも作為的かはここでは置いておくとしても、
新しい何かが我々の思考の枠踏みを超えたところに投げ入れられてしまった、
ということは少なくとも間違いのないことだと言えるでしょう。


邂逅というよりも融合と言った方が、このわくわく感を正確に表現していそうです。
すらっとした流線形のシルエットは、広大な海を今も泳いでいるかのように、
生命力を感じさせてくれます。
我々が鮫と聞いたとき、映画で象徴的に描かれるようなその凶暴性や暴力性を
連想してしまいがちですが、この万年筆を見る限りではそのような非倫理的側面よりも、
デフォルメされた可愛らしさまで感じさせられます。
商品名も「サメペン」という、サメとペンの組み合わせに少々戸惑いを覚える、
そんな名前をしています。


キャップを開けると、ペン先はフーデットニブになっています。
ただし、どうやら商品によってはフーデットニブではない、いわゆる万年筆と
よく言われる普通のペン先がついていることもあるそうで、
サメペンすなわちフーデットニブ、というわけではありません。
ここではこのフーデットニブに絞って話を進めていきますが、
このニブはまるでフードを被っているかのように、ペン先が少ししか見えていません。
この構造は、ペン先のインクが乾燥しづらいという利点を持っています。
インクが乾燥しづらいということは、つまりインクが滑らかに供給され、
すらすらとした書き味が実現されます。
また、もし過度に筆圧をかけてしまい、通常のペン先であってはニブが歪んでしまったり、
ペン先が開いてしまったりする場合でも、このフーデットニブは比較的プレッシャーに対して
強さをもっています。上にせり出した部分が、ペン先の曲がりから守ってくれるというわけです。
もしかすると、その丈夫さ、無骨でありながら実は守ってくれていた、というところに、
鮫の力強さと、凶暴性の裏に見え隠れする不器用な優しさを表現している、のかもしれませんね・・・。


嬉しいことに、コンバーターが初めからついていて、その形は欧州規格です。
実はサメペンの一番の驚きポイントは、その価格にあるのですが、
コンバーターまでついているとはおおよそ思われないほどの価格に、
我々は後程圧倒されることでしょう。
したがって、購入してすぐに好きなインクを吸入して楽しむことができます。
俺一本で満足させるぜ、という鮫の男気アピールなのでしょうか。



字幅は国産でいうところのM、中字ぐらいです。
手帳に書き込むには若干の太さがありますが、
ノートや日常のメモには良い太さです。
万年筆は細くなればなるほどカリカリした書き味に、
太くなればなるほどぬるぬるした書き味になっていきますが、
中字は実用性と書き味のバランスがとれた字幅です。
グリップ部(鮫のお腹部分にあたるスケルトンのところ)は、
持ちやすいように指のあたるところがぐっと凹んだ形をしています。
今、持ちやすいように、と書きましたが、ただしその良さを享受できるのは、
いわゆる正しい持ち方をされる場合に限られるでしょう。
私も自己流の持ち方をしますので、その場合はちょっと煩わしく思ってしまいます。
先回りされた気遣いが、しかしときに自分の思惑からは外れてしまっていて、
時に鬱陶しく思ってしまう、そんな思春期によくある心情を思い出させてくれます。

さて、最後に気になるお値段のご紹介です。
鮫になった万年筆、それとも万年筆になった鮫。
どちらの場合でも、新鮮さを抱かせてやまないこの筆記具は、
コンバーターもついて、なんと驚きの税込385円なのです。
驚きを通り越して、破格の価格で供給されるサメペンたちが
きちんとした生活を送れるお給金をもらえているのか気にかけてしまうほどの価格です。
逆に言えば、この価格でなぜこれほどのクオリティが実現できてしまうのか。
それこそまさに深大な母なる海が擁する、人類への挑戦なのかもしれません。
この謎を解くために、我々は生かされている、と言ってしまうのは、
はたして言いすぎでしょうか。
この壮大な自然を、あなたもサメペンから感じてみませんか。

メーカー:アフレッシュ
品名:サメペン
品番:KB-062
価格:350円(税込385円)
取扱店:倉敷店、岡山店、岡南店、岡山東店、倉敷西店、福山南店
    ※倉敷店はリニューアル工事の為、2022年6月30日まで臨時休業しております。

K.U.


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