墨・墨液の種類と特徴
| 文具の豆知識
今回は墨と墨液の種類と特徴についてご紹介します。
【種類・特徴・違い】
①墨
油煙(菜種油・ゴマ油)、松煙(松やに)から採取した煤を香料とにかわで練り固めたものです。硯ですって使用します。
※にかわ=動物の骨・皮を煮出して精製し、乾燥させたもの。
②墨液
墨を液状にしたもので、こちらは大きく分けて二種類ございます。
1)墨をすったもの
①の墨(煤と香料とにかわを練り固めたもの)を水で溶いたもの。
油煙墨はにかわが多く、主に漢字作品に使われます。松煙墨(=青墨)はにかわが少なく、仮名作品や水墨画に使用されます。
固形墨に近い奥行表現が可能です。
呉竹 BB1-18 書芸呉竹紫紺 180ml
純油煙を原料とした、超部粒子の作品用高級書道液。伸びがよく発色も美しい。
2)、工業的に作られたカーボンを使用したり、にかわの代わりに合成樹脂(接着剤)を使っているもの
主に学童向けの製品となっており、黒が強く筆運びも良いです。
乾きも早く定着性に優れているもの特徴。
呉竹 BA4-18 普及用墨滴
樹脂を使った学童用墨液。学校の授業で使うのに最適。練習用としても◎。
墨液にも用途に応じて種類がございます。
①濃墨
墨色に力強い立体感があり、紙とのコントラストで美しく映えます。清書用として使うのが一般的です。
②朱墨
習字の採点や朱墨作品に用います。
開明 BO-8009 朱墨汁 120ml
伝統のある朱の色彩。塗覆力に優れ添削に最適。
③白墨
開明 1513060 白墨液
黒板・鉄板・プラスチック・ガラスにのりがよく、乾くと白さを増します。
また濡れた布で簡単にふき取ることも可能。ホテル・旅館・結婚式場などの看板書きに便利です。
④メタリック書道液
おめでたい署、年賀状など、鮮やかなインパクトが欲しい時に最適です。
基線部分にメタリックの粉末が鮮やかに浮かび上がり、にじみの部分は墨液になります。
一文字の作品や大きな作品に向いています。
呉竹 BB101-5 メタリック書道液 金
他にも銀色や青色、紫色など種類も豊富で、自由な発想で署を楽しむ方におすすめです。
⑤布書き用書道液
布書き専用墨液で、にじみにくく、乾いた後は洗濯をしても落ちません。
旗やオリジナルTシャツの作成などにおすすめです。
開明 1511680 帛書墨 100ml
【よくある質問】
・墨汁ってたくさん種類があるけど、どれを使えばいいの?
学校で使うのであれば樹脂系の墨汁を使います。パッケージに練習用や清書用など書いているものが多いので用途に応じてお買い求めいただけます。
洗濯で落とせるタイプなどもありますが、墨が薄いので清書用として使うのはおすすめしません。
・墨汁と固形の墨を混ぜてもいいの?
膠系の墨汁であれば大丈夫です。お好みの濃度に調整するために混ぜることもあります。
ただし樹脂系の墨と混ぜてしまうと原料が分離してしまう可能性があるのでおすすめしません。
・一度出した墨は後でまた使うことができる?
基本的に硯に出した墨を戻すことはしません。不純物(埃や筆の毛など)が混ざったり、空気に触れ酸化して発色が悪くなったりするためです。
R.N